2020年 | プレスリリース?研究成果
"刺す水"の正體はクラゲの"粘液爆弾"だった! サカサクラゲの浮遊性の刺構造を発見
【発表のポイント】
- 熱帯?亜熱帯の淺海でシュノーケリングを楽しむ人たちの間では、肌に原因不明の痛みを感じる"刺す水(stinging water)"という現象が知られていたが、その原因は不明だった。
- その原因が、無害と思われていたサカサクラゲが放出する、毒針を含む粘液であることが分かった。
- これは、サカサクラゲの摂食戦略と関係していると見られ、これまで知られていなかったまったく新しい生存戦略である。
- サカサクラゲが生息する熱帯?亜熱帯の淺い海で泳ぐ人には、肌を露出しないなど、安全な遊泳への注意喚起をする根拠として活用できる発見である。
【概要】
熱帯?亜熱帯の淺海で泳いだ際に肌に感じる原因不明の痛み、"刺す水"の正體が判明しました。東北大學農學研究科のエイムズ シェリル準教授(スミソニアン國立自然史博物館リサーチ?アソシエイトを兼任)の國際的研究チームは、これまで無害と思われていたサカサクラゲが毒針を含む粘液を放出しており、それが"刺す水"の原因であることをつきとめました。
熱帯?亜熱帯の淺海で泳ぐと肌に原因不明の痛みを感じることが長らく知られており、研究者はそれを"刺す水"と呼んでいました。今回、無害と思われていたサカサクラゲの生態を調査する中で、毒針を含む粘液を放出していることが分かり、これが"刺す水"の正體であることをつきとめたものです。
この成果によって、クラゲの仲間の生存戦略に関する新たな學術的知見が得られたとともに、サカサクラゲが生息する熱帯?亜熱帯の淺い海では、肌を露出しない、サカサクラゲに不用意に近寄らないなど、安全な遊泳方法の知見も得ることができました。
本成果は、英國の権威ある學術雑誌NatureのCommunications Biology誌に2月13日に掲載されました。

図1:水槽中のサカサクラゲ?國立ボルチモア水族館
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大學 大學院農學研究科
グローバル農學教育ユニット
準教授 Cheryl Lewis Ames(エイムズ シェリル)
電話:022-757-4178
E-mail:ames.cheryl.lynn.a1*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大學 農學部?農學研究科 総務係
電話:022-757-4004
E-mail:agr-syom*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)